自然妊娠を目指して

ピロリ菌感染者の妊娠は危険!妊娠前に検査・除菌しておいた方が良い

現在妊活中で、妊娠する前にピロリ菌の除去を行うかどうかで迷っているあなたへ

ピロリ菌の除去は抗生物質を使うため、妊娠中、授乳中は避けた方が賢明です。

ピロリ菌保有者が妊娠すると体調が悪化するリスクが高く、母体の健康は胎児に影響するため、妊娠前の除菌をお勧めします。

ピロリ菌とは

ピロリ菌に感染するとどうなる?

ピロリ菌に感染すると慢性胃炎の状態となり胃もたれ、空腹時や食後の胃痛、食欲不振、胸やけや吐き気などの症状が出ます。

無症状の慢性炎症の状態になることもありますが、症状が悪化すると胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの病気になるのです。

胃がんの原因の98%がピロリ菌だという報告もあるくらいで、ピロリ菌を除去することで胃がんになる確率が3分の1になるともいわれます。

ピロリ菌はなぜ酸性の強い胃の中で生きられるのか?

胃の中は強い酸性だから「菌は生きられないのでは?」って思いますよね。

事実、胃の中のpHは1 ~ 1.5 程度の強酸性で、通常の菌は胃の中では生きられません

ピロリ菌だって例外ではなく、何も対策を立てなければ生きられない環境なのです。

劣悪な環境の中、自分自身が生き延びるために、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を出します。

「ウレアーゼ」が胃の中にある尿素を分解してアンモニアを発生させます。

アンモニアは強いアルカリ性なので胃酸と中和され、ピロリ菌の周りだけ中性に近い状況を作り出すのです。

こうしてピロリ菌は、強酸性の胃の中で、自身が生息する環境を整えてしまいます。

そして、ピロリ菌が生き延びるために出す「ウレアーゼ」などの毒素が、胃の粘膜を傷つけて、様々な症状や病気の原因となるのです。

ピロリ菌の感染源は?

ピロリ菌は世界人口の2分の1が感染者で、2018年現在日本人は5,000万人前後が感染していると言われています。

高齢になるほど高く、60歳以上は60%、40代だと20%、20代は10%、10代は2%程度です。

日本における、ピロリ菌感染者の減少は、衛生面の向上によるところが大きく、1964年の東京オリンピックを契機に上下水道などのインフラが整ったあとに生まれた世代では急速に感染率が低下しています。

ピロリ菌は衛生面の劣悪な国や地域では水からの感染が報告されていますが、現在の日本では水からの感染は、ほとんどありません。

接する機会の多い親からの感染が大半です。

親やおじいちゃんおばあちゃんが、かわいさのあまりに口移しで食べ物を与えたことなどが原因で感染するのです。

ピロリ菌感染者が妊娠するとどうなるのか

胃の病気が悪化する可能性が高くなる

ピロリ菌感染者が妊娠すると、もともと持っていた胃の病気が悪化する可能性が高いです。

妊娠すると、プロゲステロンという女性ホルモンが増え、胃腸の動きが変化します。

胃腸の動きをつかさどる自律神経のバランスが崩れ、胃腸に不調をきたすのです。

また、つわりで食べられないと胃が空っぽになり、胃が胃酸の影響を直接受けるため、胃の粘膜が痛み、嘔吐を繰り返し、食道の粘膜もやられてしまいます。

食べる量が減ると便の量も減るので便秘になりやすくなり、腸の動きが悪くなるため、胃も影響を受けて動きが悪くなります。

ピロリ菌感染者が妊娠すると胃の不調や胃の病気になりやすくなるのです。

貧血や鉄分欠乏症になりやすい

ピロリ菌感染者が妊娠すると、貧血や鉄分欠乏症になりやすいと言われます。

ピロリ菌の影響により、鉄分の吸収が阻害されるからです。

妊娠をすると赤ちゃんを育てるために血流量が増えます。

血流が増える際、成分が均等に増えるのではなく、赤血球、白血球、血小板の細胞成分(血球ともいう)よりも、血漿(プラズマ)と呼ばれる液体部分の方が割合的に多く増えるのです。

つまり血液が薄まった状態になり、貧血を起こしやすくなります。

貧血気味の妊婦さんには、ヘム鉄などのサプリメントが処方されることがあるのですが、いくら普段より多めの鉄分を摂取しても一向に改善されない妊婦さんがいます。

ピロリ菌感染によって胃粘膜萎縮が起こり、鉄分の吸収が阻害されている可能性があるためです。

ピロリ菌検査と除菌の方法

ピロリ菌の除菌は、3種類の薬を朝夕7日間飲むだけです。

胃酸の分泌を抑える「プロトンポンプ阻害剤」と2種類の抗生物質、「アモキシシリン」と「クラリスロマイシン」を服薬することで7~8割の人が除菌に成功します。

薬を飲み忘れたり、途中でやめたりしたら薬の効きにくいピロリ菌(耐性菌)が現れ、除菌がうまく行かなくなるので注意が必要です。

2~3割の人は除菌に失敗するけど安心してください。

再除菌(二次除菌)の方法があります。

初回と同じように3種類の薬を朝夕2回、7日間服用しますが、薬の種類が変わります。

初回に使用した「クラリスロマイシン」という薬は使わずに「メトロニダゾール」という薬を服用します。

再除菌を行うことで8~9割が成功します。

再除菌(二次除菌)の間はアルコールの摂取ができないので注意してください。

妊娠中や授乳中はピロリ菌の除菌は避けた方が良い

ピロリ菌は薬を一週間飲むことで7~8割は除菌することができるのですが、強い抗生物質を使うため妊娠中や授乳中には除菌しない方がよいでしょう。

ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因として知られる細菌ですが、ピロリ菌の感染者が妊娠すると、もともとあった胃の病気の悪化や貧血・鉄分欠乏症になりやすいなどのリスクがあります。

貧血の患者がピロリ菌の除菌を行うと、血小板が増えて貧血が改善したという例も報告されています。

母体の健康状態は直接胎児に影響を与えるため、妊娠する前に検査を受け、感染していたら除菌しておくことが望まれます。