「人工授精」と「体外受精」。どのように選べばいいのでしょうか。

方法を簡単に振り返ると「人工授精」は男性から採取した精子を洗浄、選別し排卵日に合わせて直接女性の子宮に注入する方法です。

 

自然妊娠の場合はセックスによって膣内に放たれた精子は子宮頚管の中を泳いで子宮にたどり着きます。

 

「人工授精」の場合はそこまでのプロセスがカットされるのです。

 

排卵日に合わせて精子を子宮に注入したり、必要に応じて排卵促進剤などを使って排卵を促すので精子と卵子が出会う確率が高まります。

 

費用は1回あたり2~3万円。妊娠率は約5%と言われています。

対して「体外受精」は男性の精子を洗浄、選別するところまでは人工授精と同じ。

 

違うのは卵子を女性の体から取り出して、精子と受精させ、受精卵を一定のところまで育ててから女性の体に戻すところです。

 

精子と卵子を採り出して培養室で受精させるので、うまく採り出せた場合、精子と卵子は確実に出会います。

 

そして受精卵を育てたのち女性の体に戻すので妊娠をする確率が高まります。

 

妊娠に適した卵子を採り出せない場合や受精卵がうまく育たないことがあります。

 

受精卵を女性の体に戻しても着床できないことや着床しても妊娠を継続できないこともあります。

 

費用は1回あたり50万円~100万円かかり、妊娠率は約15~25%と言われています。

 

通常は「タイミング法」 → 「人工授精」 → 「体外受精」と進む ステップアップ治療が採られます。

ステップアップだから「タイミング法」がダメなら「人工授精」に進み、それでもダメだったら「体外受精」に進む方法です。

 

ちなみにタイミング法は、排卵日を予測してその日に合わせてセックスを行う方法です。

 

自宅で行う場合は基礎体温を計っておおよその日を予測した上で、排卵日検査薬で排卵日を調べる方法があります。

 

病院で調べる場合は、上記に加えて採血によりホルモンの状態を調べたり、超音波(エコー)検査により卵子の状態を調べて排卵日を予測してくれます。

 

まずは「タイミング法」を行い、次に「人工授精」。

「人工授精」を5~8回行ってダメなら「体外受精」に進むことが一般的とされています。

 

人工授精の場合も体外受精と同様に排卵促進剤を使用する場合が多いです。

 

人工的に排卵を促すことで女性の体に負担をかけるので1回の人工授精でダメなら、次の周期は休憩して、その次の周期に行うことが多いです。

 

そうすると6~8回の人工授精を行うと2年以上の月日が流れてしまします。

 

2歳年を取るということはその分妊娠しにくい体になっています。

 

普通に考えても年を取ると妊娠しにくくなるし、排卵促進剤の使用頻度が高くなると女性の体への負担は大きくなります。

 

通常の排卵では1回の周期で2つある卵巣のうち片方からしか排卵されないのにホルモン剤や排卵促進剤を使用することで両方の卵巣から5~10個もの卵子を排卵させることもあるのです。

 

自然な状態では起こりえないことを薬によって使って行うので女性の体にはかなりの負担がかかります。

 

それに夫婦ともに2歳年を取るということは体力的な問題や子どもが成人するまでの経済的な状況を考えても子育てが難しくなるはずです。

 

そう考えて最初からより妊娠率の高い体外受精を選択する方法もありです。

 

月日が流れること以外に人工授精でうまく行かない原因を考える必要もあります。

 

排卵に何らかの障害がある場合はいくら精子を子宮に届けても妊娠には至りません。

 

卵巣で卵子が作られていることが確認できればそれを採り出して培養室で精子と受精させる「体外受精」が有効となります。

 

また「フーナーテストで問題なければ人工授精は必要がない」という説があるのです。

「フーナーテスト」とはセックスをした後、女性の体から精液と混じった頸管粘液を採り出して精子が元氣に活動しているかどうかを調べるものです。

 

精子が元氣で子宮までたどり着く能力があるなら人工的に届ける必要はないと考えるわけです。

 

その場合排卵障害など、「人工授精」では解決できないところに不妊の原因があるなら体外受精の方が向いており、「最初から体外受精を選択しましょう」というわけです。

 

一方、「人工授精」の良さを見直そうという動きもあります。

妊娠率だけを見ると人工授精よりも体外受精の方が高いような気がする…。

 

だけどこれは1回あたりの妊娠率です。

 

1回の人工授精で妊娠できなかった人が2回目の人工授精に挑戦します。

 

妊娠できなかった原因を探りながら、2回、3回と繰り返せば当然妊娠率は上がってきます。

 

1回あたりの費用が2~3万円だから10回繰り返しても1回の体外受精よりも安くつきます。

 

費用を考えると人工授精までで何とか妊娠できないかと考えるのはもっともなとこです。

 

それにフーナーテストで問題がなくても人工授精が効果を上げることもあるようです。

 

精子が元氣でもタイミングよく妊娠に適した卵子が排卵されてくるとは限らないからです。

 

排卵促進剤を使って排卵のタイミングを図り、選別された精子を注入することで妊娠率が高まることが考えられます。

 

体外受精で妊娠できない場合に人工授精にステップダウンして妊娠できるケースもあるのです。

不妊治療だけでなく、妊娠、出産、子育てには費用がかかります。

 

女性は仕事を続けることが難しい場合も出てきます。

 

不妊の原因を調べ、どの治療方法があっているのかを医師と相談の上決めていくのかはもちろんですが、夫婦の年齢、家庭の経済状況を含めた将来の人生設計を考え たうえでどのような不妊治療を行うかを決めていきましょう。